41歳からはじめるクリエイティブディレクション 企画 #3

前回の記事では、クリエイティブディレクションのフローの中でも、着想部分を説明しました。今回は、次のフローの「企画」について深堀りしていきましょう。

尚、このフローについては、本を読んで自分なりに参考にしてまとめてみました。
案件や会社によってやり方は変わると思いますので、あくまで参考としてご覧ください。

企画 – 具体的なアイデアのアウトプットと届け方

1 ターゲットを明確にする

着想のコンセプト段階ですでに大まかに決めていましたが、さらに具体的な顧客像をかんがえます。ペルソナというべきでしょうか?

年齢、性別、職業別と嗜好性も加味して考えていきたいですね。
自分のコンセプトをAIにぶつけながら相談してみましょう。

ペルソナ案

環境意識 :「ゴミを出さない」ことが最大の環境保護だと理解しているタイプ
人間関係:家族との団らんや、受け継がれる「記憶」を何より大切にするタイプ
消費行動:「なんとなく」で買わず、徹底的に調べて納得してから購入するタイプ
持ちもの: 数は少ないが、どれも一級品でストーリーが語れるものばかりタイプ

自分の消費行動が地球環境に与える影響に敏感で、「良いものを一つだけ」という美学を持つタイプです。

名前(仮): 鈴木さん(45歳・オーガニック系の食品会社勤務)
家族構成: 夫、保護犬1匹。
住まい: 自然豊かな郊外の古民家。

家具を選ぶ動機
「樹齢100年の木を切って作った家具なら、最低でも100年は使い続けたい。
それが木に対する礼儀だし、次の世代へ地球の資源を繋ぐことだと思う。」
特徴
無垢材、自然塗料(オイル仕上げ)に強いこだわりがある。
「古くなったから捨てる」という概念がなく、修理して使い続けることに高い美意識を感じる

2 アイデアを固める

サービスの特徴をもう一度詳細にまとめていきます。
ペルソナとしている人が納得して興味を持ちそうな内容を考えます。

家具の材料ついて

神戸市が里山の木材の利用を進めている。
家具に向いている丈夫な広葉樹の木材を自治体と連携を行い材料の調達を行う。

制作者

工作は神戸家具職人によるもの。市からの助成などで神戸市⺠が購入しやすい環境作り。
物理的い近い地域の顧客を意識する。

販売アイデア

顧客は家具ではなく、よりよいインテリア空間を求めているので、インテリアデザイナー
が部屋の間取りや、イメージを聞き出して顧客対応を行う。
AIを使い、家具や部屋の設計を効率化。
製作途中では、一つの工程を、依頼側の親子や孫も作業を手伝うことができ、思い入れを入れられる仕組みで、家具を発注して出来上がるまでが、家具の継承という一つのひとつのイベントになるような価値提供。

4 伝え方

考えたアイデアをどのようなものに込めて作ればよいか決めます。
動画なのか、本などの紙媒体なのか?オンラインのWebサイトなのか?

①ブランドブック

チラシやパンフレットではなく、雑誌のような装丁の「小冊子(Zine)」を作成します。

  • 木の履歴書として、家具に使われる木が、神戸のどの山で、どんな風に育ったか(樹齢、伐採理由)を物語にする。
  • 神戸家具職人のインタビュー。「修理して使い続けること」への哲学を語ってもらう。
  • 紙のこだわり: 再生紙や非木材紙(竹紙など)を使用し、触った瞬間に「環境配慮」が伝わる手触りにする。

②顧客インタビュー動画

「継承家具家族」というタイトルで、実際にサービスを利用した家族の「生の声」と「体験の様子」を届けることで、自分事化の促進。「私たち家族もこんな風になりたい」という憧れを醸成する。

  • 出演:ペルソナに近い、実際の顧客家族(親子3世代など)。
  • 内容
    • 完成したオーダーメイド家具が置かれた自宅でのインタビュー。
    • 購入の動機:「ただ買うだけじゃなく、何かが残る体験がしたかった」(親の視点)
    • 製作体験の回想シーン:「難しかったけど、自分が塗った場所はずっと覚えてる」(子供の視点)
    • 「この子が大きくなったら、このテーブルの傷の話をしたいですね」と語り合う家族の笑顔。
  • トーン: ドキュメンタリー映画のような質感。

 ③製造ドキュメンタリー動画

「徹底的に調べて納得したい」欲求に応える、嘘のない裏側の開示。 信頼性の獲得と疑問と思われるものへの回答を動画で見せるイメージ。

Vol.1「無駄なく使う仕組み」

  • 貴重な広葉樹の一枚板を前に、AI等の計測技術を使いながら、最適な「木取り(どのパーツをどこから切り出すか)」をシミュレーションしている画面を見せる。
  • 職人の声:「木の命を無駄なく使い切ることができるんです。」

Vol.2「里山の木を使う意味」

  • 神戸市の担当者やきこりが現場で語る。「適切に木を切って使うことが、陽の光を森に入れ、次の豊かな森を育てることにつながる」という環境循環の仕組みを、実際の森の映像と共に解説。

Vol.3「修理の魔法」

  • わざと傷や凹みをつけた板を、職人が蒸気(アイロン)を使って元に戻したり、削り直して美しく蘇らせる工程を早回しで見せる。
  • テロップ:「傷は直せる。歴史は残せる。」

④【体験イベント】「里山と家具の継承ツアー」

購入前の最終決定打となるイベントです。

  • 内容: 家具になる予定の木が生えている(または伐採された)神戸の里山をガイド付きで歩く。その後、職人の工房を見学。
  • ポイント: インテリアデザイナーも同行し、その場で「この木なら、鈴木さんの家のあの場所に合うダイニングテーブルが作れますね」と提案する。

3 メディアを決める

1. オフライン認知

顧客は、自分の価値観に近い場所を日常的に訪れます。
そこを「ブランドブック」との出会いの場にします。

  • パートナーシップ展開
    • 神戸の自然派ショップ・工務店: 鈴木さんがリノベーションを相談しそうな建築事務所や、無垢材にこだわる工務店、オーガニックレストランの待合スペースにブランドブックを設置。
    • 「職人の街」での展示: 北野や竹中大工道具館など、神戸の工芸文化に触れる場所に、家具の端材で作った小さなサンプルと共に設置します。
  • 「木の履歴書」カード
    • 最初から重厚なブランドブックを渡すのではなく、名刺サイズの「里山の木の種類と特徴」を記した美しいカードをショップのレジ横などに置きます。QRコードから動画へ誘導します。

2. オンライン認知

「広告」としてではなく「活動報告」として発信します。

  • Instagramの「プロセス・ドキュメンタリー」:
    • リール動画: 「職人の手仕事」や「里山の四季」をASMR的な美しさで15〜30秒にまとめます。
    • ストーリーズの「Q&A」: 「なぜ神戸の木なのか?」など丁寧に答える投稿を「ハイライト」に集約します。

3.Webサイト誘導

動画やSNSを見て興味を持った人が、サイトを訪れた際の導線です。

  • AIカスタマイズ体験:
    • 「あなたの家の間取りに、30年後のこの家具を配置してみる」というAIシミュレーションイメージをトップページに配置。
  • 「製作体験会」の動画予約:
    • 家族のインタビューのすぐ下に、直近の見学会や製作体験の予約ボタンを設置。

4. 地域連携

「神戸市との連携」という強みを最大限に活かします。

  • ふるさと納税への展開:
    • 「家具そのもの」だけでなく、「家具づくり体験チケット」として展開。
      これにより、神戸市の公式広報やポータルサイトでの露出が狙えます。
  • メディアアプローチ:
    • 「里山保全×伝統工芸×AI」という文脈は、地方創生やSDGsの好事例として新聞や地域雑誌(『SAVVY』や『あまから手帖』の神戸特集など)に取り上げられやすいトピックです。